小学生のドリルの選び方|続く1冊の選び方と家庭での使い方

塾・教材の選び方

本屋さんのドリルコーナーで、ずらりと並んだ表紙を前に立ちつくす。「この学年の、これでいいのかな」「せっかく買っても、また途中でやめちゃうかも」。そんなふうに、我が子に合う一冊が分からなくて迷う——じつはとても多くの保護者が、同じところで足を止めています。小学生のドリルの選び方に正解が見えにくいのは、あなたが教育に詳しくないからでも、お子さんが勉強嫌いだからでもありません。ドリルは種類も難易度も驚くほど幅広く、「表紙と学年」だけでは中身の相性まで分からない、というのが本当のところなのです。

大切なのは、「良いドリル」を探すことより、「今のお子さんに合う一冊」を選ぶこと。今どこでつまずいているのか、どれくらいの量なら続くのかを見てから選べば、失敗はぐっと減ります。この記事では、中部大学 現代教育学部 准教授で算数教育の研究者でもある樋口万太郎先生(元小学校教員)の視点も交えながら、家庭で迷わないドリルの選び方を、やさしく整理していきます。1冊をやり切りやすい夏休みは、お子さんに合うドリルを見つける絶好の時期です。

なぜドリル選びで迷うのか

「小学生のドリルの選び方」でつまずくとき、迷いの原因はだいたい4つに分けられます。自分がどこで止まっているのかが見えると、選ぶ基準がはっきりしてきます。

① レベルが合っているか分からない

いちばん多い迷いが、難易度です。「今の学年ちょうど」がいいのか、「少し戻る」のがいいのか。じつは、今の学年より少しやさしいと感じるくらいが、つまずかずに続きやすいもの。ちょうどの学年でも、単元によっては難しく感じることがあります。表紙の学年表示だけで判断せず、中身の1ページを実際に見て決めるのが安心です。

② 量が多すぎて、続くか不安

1冊が分厚いと、それだけで「終わらなさそう」と気が重くなります。1ページの問題数が多すぎたり、1日にこなす量が見えなかったりすると、親子とも息切れしがち。ドリルは「厚さ」ではなく、「1日にどれだけ進むか」で選ぶと、ぐっと続けやすくなります。

③ 目的があいまいなまま選んでいる

「基礎を固めたい」のか、「応用力をつけたい」のか、「苦手なところを補いたい」のか。目的がぼんやりしたまま、なんとなく評判のいい1冊を買ってしまうと、お子さんの今の課題とズレてしまうことがあります。まず目的を1つに絞ることが、失敗しない選び方の出発点です。

④ 「買ったのに続かない」がこわい

過去に途中でやめてしまった経験があると、「また続かなかったらどうしよう」と、選ぶこと自体がこわくなります。でも、続かなかったのはお子さんの意志が弱いからではなく、たいていは「合っていなかった」だけ。合う一冊なら、驚くほどすんなり続くこともあります。責める前に、まず選び方を見直してみましょう。

小学生のドリルの選び方を親子で一緒に考えている様子
👨‍🏫 樋口万太郎先生(中部大学 現代教育学部 准教授/元小学校教員・算数教育の研究者)

ドリルを選ぶときは、いきなり「評判のいい一冊」を探すのではなく、まず「今、お子さんがどこでつまずいているか」を見てあげてください。私はこの見きわめを「見取り」と呼びます。そこが見えれば、選ぶべきドリルは自然としぼられます。よくある失敗は、学年どおりの難しい一冊を選んでしまうこと。難しすぎる問題は、「できない」経験を積み重ねさせ、それがそのまま挫折につながります。少し戻るくらい、「これならできる」から始めるほうが、結局は前に進みます。夏休みは、一冊を最後までやり切る経験を積む、またとない機会です。

まずは「今どこにいるか」を見てから選ぶ

ドリル選びは、商品を比べる前に、お子さんの「今」を見るところから始まります。おすすめは、①今の学力を見る(どの単元でつまずいているか)→ ②目的を1つ決める(基礎固め・応用・苦手補強のどれか)→ ③その目的とレベルに合う一冊にしぼる、という順番です。この「見取り」ができていれば、書店やネットで迷う時間はぐっと減ります。逆に、ここを飛ばして表紙や口コミだけで選ぶと、いくら評判が良くても、お子さんには合わないことがあるのです。まずは、直近のテストやプリントを一緒に見返すところから始めてみてください。

机にドリルを開いて子どもに合う一冊を選ぶ親子の様子

選ぶ前に整えたい——「見る場所」と「決めごと」

良いドリルを選ぶには、選ぶ前のちょっとした準備が効いてきます。土台を整えましょう。

  • 直近のテストやプリントを見返す:どの単元で×が多いかを見ると、今の課題がはっきりします。ここが「見取り」の第一歩です。
  • 目的を1つに決めておく:「今回は基礎固め」など、買う前に目的を1つに。あれもこれもと欲張らないほうが、続く一冊に出会えます。
  • 中身を1ページ実際に見る:可能なら書店で、または見本ページで、1ページの量と難しさを確認。表紙の学年表示だけで決めないのがコツです。
  • 「1日1ページ」を基準にする:無理なく続く量かを、1日単位でイメージ。厚さより「毎日終えられるか」で選ぶと失敗しません。

失敗しないドリル選び 7つのポイント

全部を完璧に満たす一冊でなくて大丈夫。お子さんの今の課題に合わせて、大事なところから順にチェックしてみてください。

ポイント 01

今の学力を見てから選ぶ

まずは「見取り」から。今の学年ちょうどにこだわらず、少し戻るくらいの「これならできる」レベルが、つまずかずに続きます。できる実感が、次への意欲を生みます。

ポイント 02

1日1ページで終わる量にする

1ページの問題数が多すぎないか、1日で終えられる分量かを確認。「今日も終わった」という達成感を毎日積めることが、続く一冊の条件です。

ポイント 03

基礎か応用か、目的を1つに絞る

基礎固め・応用・苦手補強のうち、今回のねらいを1つに。目的がしぼれていると、中身とお子さんの課題がぴったり合い、効果が出やすくなります。

ポイント 04

親が丸つけしやすい解説つきを選ぶ

解答に、考え方や途中式の解説がついているものを。丸つけがラクだと親の負担が減り、「なぜ間違えたか」も一緒に見てあげられます。

ポイント 05

スモールステップ・スパイラル構成を選ぶ

少しずつ難しくなり、前に習ったことをくり返し復習できる構成が理想。急に難しくならないので、つまずきにくく、定着もしやすくなります。

ポイント 06

子どもが「やりたい」と思う見た目を選ぶ

好きなキャラクターや、明るい紙面デザインは立派な武器です。本人が「これがいい」と選んだ一冊は、続く力がまるで違います。一緒に選ぶのが◎。

ポイント 07

「1冊やり切れる」設計かを見る

終わりが見えるページ数か、達成シールやごほうび欄があるか。「最後までやり切った」経験そのものが、次のドリルへの自信につながります。

ドリルが続かないときは

合いそうな一冊を選んでも、途中で手が止まることはあります。そんなときは、お子さんを責める前に、もう一度「合っているか」を見てあげてください。難しすぎて止まっているなら、1つ下のレベルに戻す。量が多すぎるなら、1日半ページに減らす。飽きているなら、教科や種類を変えてみる。ドリルは「買ったら最後までやらせるもの」ではなく、「合わなければ替えていいもの」です。合わない一冊にしがみつくより、思いきって替えるほうが、結果的に長く続きます。夏休みのような時間のある時期は、いろいろ試して「これだ」という相性を見つけるチャンス。1冊を最後までやり切れたら、それが何よりの成功体験になります。

「まだ合う一冊が見つからない」でも焦らなくて大丈夫

ドリルは、一度で「ぴったりの一冊」に出会えるとは限りません。何冊か試すうちに、「この子にはこういうタイプが合うんだ」と、だんだん分かってくるものです。だから、最初の一冊が続かなくても、それは失敗ではなく、相性を知るための大切な一歩。焦って何冊も同時に与えたり、難しいものを無理にやらせたりすると、「ドリル=いやなもの」になってしまい、かえって遠回りになります。夏休みのように、生活のリズムのなかで少しずつ取り組める時期は、合う一冊を見つけ、それをやり切る経験を積む絶好のチャンスです。「今日も1ページできたね」と一緒に喜ぶ日々の積み重ねが、いつのまにか自分から机に向かう力を育てていきます。合う一冊に出会えるのは、その先です。

やりがちだけど逆効果になりやすいNG

よかれと思っての関わりが、かえってドリル嫌いを強めてしまうこともあります。責める意味ではなく、「知っておくと楽になる」ものとして読んでください。

  • 学年どおりに難しいものを選ぶ:「今の学年だから」と難しい一冊を選ぶと挫折のもと。少し戻るくらいの「できる」から始めましょう。
  • 量が多い一冊を詰め込む:分厚いドリルを一気にやらせると息切れします。1日1ページで終わる量を基準に選びましょう。
  • 丸つけを子ども任せにする:間違いに気づけないまま進んでしまいます。解説つきを選び、一緒に見てあげるのが近道です。
  • 目的をあいまいなまま何冊も買う:基礎・応用をまとめて与えると混乱します。今回のねらいを1つにしぼりましょう。
  • 合わないのに最後までやらせる:無理に続けると勉強嫌いに。合わなければ替えていい、と気軽に構えましょう。

がんばっているのは、お子さんだけじゃない

ここまで読んでくださったあなたは、それだけでもう十分にお子さんと向き合っています。合う一冊を探し、毎日声をかけ、丸つけまで付き合う——それは、思っている以上に骨の折れることですよね。せっかく選んだのに続かないと、こちらの気持ちもすり減っていく。その感覚は、多くの保護者が同じように味わっています。

だからどうか、「うまく選んであげられない自分」を責めないでください。ドリル選びは、教育のプロでも迷うほど選択肢が多いもの。一度で正解を当てる必要はありません。あなたが「この子に合うものを」と一緒に考えてくれること。その姿勢こそが、お子さんにとって何よりの支えです。今日ぴったりの一冊が見つからなくても、また次で大丈夫。夏休みのあいだにゆっくり、で構いません。やり切れた日には、一緒に大きく喜んであげてください。

ドリルの選び方に向き合いつつ、自分の時間も大切にする保護者
一人で抱えなくて、大丈夫。一緒に、ぼちぼちいきましょう。🌱

それでも迷う・一人だと決めきれないときは

いろいろ調べても、我が子に合う一冊を一人で選び続けるのは大変です。「この子は今どこでつまずいているんだろう」「どのドリルが合うんだろう」——そんな悩みを、同じ立場の保護者や専門家と分かち合える場所があると、ずいぶん心が軽くなります。

「保護者の学校」は、小学生の子をもつ保護者のためのオンラインコミュニティです。中部大学 現代教育学部 准教授で算数教育の研究者・樋口万太郎先生の月2回の声かけ講座で「見取り」や具体的な関わり方を学び、家庭で小さく試し、連絡帳(実践投稿)で振り返る。この学びのサイクルを、一人ではなく仲間と一緒に回していけます。うまくいかない日も、責められずに振り返れる。そんな場所です。

選んだドリルへの取り組みを日々振り返る保護者の様子
中部大学 現代教育学部 准教授が講師

保護者向けオンラインコミュニティ「保護者の学校」

大学准教授で算数教育の研究者・樋口万太郎先生の月2回の声かけ講座で学び、家庭で小さく試し、連絡帳で振り返る。うまくいかない日も、一緒に振り返れる場所です。

2026年8月1日 開校|月額 5,980円(税込)

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